目次
東洋眼虫(とうようがんちゅう)とは?
東洋眼虫とは、ペットの目に寄生する寄生虫のこと。結膜の奥や涙管の中、瞬膜の裏側に寄生する体長5~18mm程度の小さな白色の線虫です。愛犬の結膜炎が治らない、目ヤニがひどい、最近やたら眼をこする…などの症状があなたのわんこに見られたら、その眼の中には虫がいるのかもしれません。
感染経路&東洋眼虫の不思議な生態
東洋眼虫はショウジョウバエの仲間メマトイ(マダラメマトイ)によって寄生されます。この虫は犬の目にまとわりつき、涙や目ヤニに含まれるタンパク質を摂食するという不思議な性質をもっているのです…! 筆者は9歳になる愛犬と暮らしていますが、これまでそのような恐ろしい虫に出会ったことはありませんでした。ですから当然、その存在を気にしたことすらありません。しかし今年(2017年)の夏、愛犬との散歩中にやたらペットの目に止まる虫の存在に違和感を覚えるという事件があり…。愛犬の目をめがけて飛んでくる虫を必死に払いながら帰宅したことがあったのです。
メマトイってどんな虫なの?
✓メマトイは体長3~4mmの羽虫で、山林や川、畑、公園にも多く生息(九州 や西日本が主な生息地だったが、温暖化に伴い感染地域も広くなってきている)。
✓動物の涙液や目ヤニを摂食する
✓摂食の際にとまった動物がすでに寄生虫の宿主であった場合、東洋眼虫の幼虫がメマトイの口器から体内に侵入
✓幼虫を持ったメマトイが別の犬・猫の涙脂を摂取
✓幼虫が対象動物の結膜や瞬膜下にうつる
感染した際の症状は?
思い返せば数匹、ときには集団で犬猫の顔周りにまとわりついてくる小虫に遭遇したことのある人もいるのではないでしょうか? そのときは「外を歩いていれば虫ぐらいは当然!」と気にも留めなかったかもしれません。けれどその生態を知れば知るほど恐ろしく、不思議な習性を持っているのがメマトイ。筆者は何年も通っている散歩エリアで今年初めてその恐ろしい虫に出会いました。地球温暖化や異常気象など、自然の状況は日々変わっていきます。それらの影響はペットの暮らしにも関わってくるのだと実感した出来事でした。
東洋眼虫の症状は!
✓感染初期はほぼ無症状
✓3〜5週間の潜伏期間を経て目の中で成虫に
✓次第に目ヤニや結膜炎、異物感などの症状が現れる
✓虫自体は目の中を動き回るだけで、ペットの目を傷つけることはない
✓しかし寄生虫による違和感から愛犬が目をこすり、放っておくと視力減退などの症状も引き起こす
東洋眼虫の治療方法は?
虫はパッと見ただけでは発見しにくいのですが、もしも白く透明な虫が目の中で動いているのを見つけたらただちに病院へ! 治療は点眼麻酔のあとにピンセットなどを使い、直接目の中から虫を摘出するそうです。けれど東洋眼虫は取ろうとすると目の中を動き回り、目の奥や涙管に入り込んでしまうこともあるため、1回の治療では取りきれないことも…。まぶたをひっくり返したり瞬膜をピンセットではさんだりする必要があるので、犬猫が暴れて危険な場合は全身麻酔をかけることもあるようです。
東洋眼虫の予防
「メマトイがペットの眼にとまった=感染してしまった」という方程式は必ずしも100%ではありません。すべてのメマトイが東洋眼虫の幼虫を体内に宿しているわけではないですからね。筆者もあの夏の日から数週間、愛犬の目をずっと観察していますが、どうやら今回は感染していなかったようです。予防としては以下のことが考えられます。
こんな所にメマトイが!注意すること
✓多くの虫が生息する山林にはなるべく行かない
✓キャンプなどのレジャー時は要注意!
✓熟果実・発酵食品・野菜クズなど、臭気の高い物に集まる習性も。住宅地での発生例もあるため生ゴミの管理には気をつける
✓自宅の玄関や窓にハエの駆除薬をつるす
✓3〜10月の暖かい時期は特に意識すること
✓フィラリア予防薬で東洋眼虫の幼虫をある程度駆除できる可能性があるが、現在までその確信はない
東洋眼虫は治療薬があるの?
ノミ・ダニ・フィラリアのような治療薬がないため、メマトイを完全に予防することは困難なようです。つまり一番の予防薬は、私たち飼い主が危機意識を高く持ち、日々ペットの状況を気にかけてあげること…になるのでしょうか。幸いメマトイの大きさは3〜4㎜。肉眼でその存在をしっかりと確認することができるので、散歩中も時々ペットの表情を気にかけてあげましょう。またメマトイが眼に卵を産むわけではなく、メマトイを介さない限り、犬から犬のような直接感染はほとんどありません。そしてなるべくハエの来ない環境にするため、まずは自宅を清潔に保つこと。活発な犬や若い犬はハエが止まっても首を振ったり、手ではたいたりすることができますが、もともと大人しい犬や老犬は目にハエが止まっても反応しない場合が多いです。
まとめ
メマトイは主に暖かい時期に発生しますが、暖房や温暖化の影響で冬に姿を見ることも多くなっています。 犬の目を見ただけでは発見しにくいので、目ヤニがひどくなったり、眼の付近を掻いたりした時などは一度目の中を観察してみましょう。