目次
犬も人間と同じで、「老い」がやってきます。筋肉や内蔵の機能が弱くなっていくと、様々な病気や変化があらわれてきます。いつもと違う・最近おかしいな・と感じたら、それは衰えから来ているかもしれません。老犬になりますと、のちのち介護が必要になったり、大きな病気になったりします。その事前のサインを見逃さないためにも、老犬に関しての基本的な知識を紹介していきたいとおもいます。
老犬とは?
老犬とは、個体差はありますが一般的に「小型犬・中型犬で11〜12年目」「大型犬で8〜9年目」あたりで「老犬」と呼ばれるようになります。人間の歳に置き換えると、65歳あたり。
この年齢になると、体の衰えや病気がおおきな問題になってきます。以前できていたことができなくなったり、体調が悪くなったりするので、注意が必要です。
老犬になると変化するもの
犬も衰えていくと、たくさん変化してきます。もし、次のようなものが現れたら介護の準備をすることを、おすすめします。
筋肉や骨の衰え
- 歩くスピードが遅くなる
- 散歩が嫌になる
- ジャンプして、段を上がれなくなる
- 足を引きずるようにして歩いている
- 走らなくなる
歯の衰え
- 食べるのが遅くなる
- 食欲がない
- 口臭がきになる
- 歯がぐらぐらする
- 歯が長くなったように見える
- 口の中腫れてくる
- 歯茎から出血がある
目の衰え
- 見えない事からの恐怖心により、臆病になったり、吠えたり噛んだりと攻撃的になる
- よくものにぶつかる
- 遊んでも反応が薄い
- 飼い主への依存度が高くなる
耳の衰え
- 呼びかけても、反応が鈍くなる
- 大きな声で吠えるようになる
- 音が聞こえない恐怖で吠えたり攻撃的になったりする
- 飼い主への依存度が高くなる
内蔵の機能の衰え
- 食欲がなくなる
- 嘔吐、下痢
- 便秘
- 体重が減る
その他、老犬になるとおこす行動
- 足や体を噛みだし、出血する
- 夜鳴きをするようになった
- 下痢をするようになった
- 痙攣(けいれん)している
- 息が荒い
体温調節が難しくなる
老犬になると自分での体温調節が難しくなり、今まででは問題なかった事でも注意が必要となってきます。
【室内温度を調整する】
人間より3〜4度温度が低く感じているため、私達は涼しいと思っていても、犬にとっては「寒い」と感じることがあります。体温調節が厳しくなると、今までの温度設定だと寒すぎるかもしれません。
【水分補給に気をつける】
犬は「ハァハァ」と息を荒くすること(パンティング)によって、体温をさげていきます。その時に、体内の水分も一緒にでてしまうため、脱水症状を起こさないよう、常に清潔な水を準備しておきましょう。
【直射日光をさける】
直射日光は、なるべく避けるようにしましょう。日光に当たりすぎると、体温が上がりすぎてしまうことがあります。カーテンなどを使用して、直射日光に当たらないように工夫しましょう。
【風をあててあげる】
扇風機の風を当てて、熱を下げる方法があります。しかし、その風が原因でドライアイになったり、のどが乾燥して咽頭炎などにかかる恐れがあります。直接風が当たらないようにしましょう。
老犬にかかりやすい病気
病名
- 糖尿病
- 認知症
- 心臓病
- 僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
- 腎不全(じんふぜん)
- 白内障
- 前立腺腫瘍(ぜんりつせんしゅよう)
- 前十字靭帯断裂(ぜんじゅうじじんたいだんれつ)
- 椎間板ヘルニア
- 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)
- 悪性リンパ腫
- パルボウイルス感染症
- 熱中症
- クッシング症候群
- 肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)
- 肛門嚢炎(こうもんのうえん)
- 骨肉腫(こつにくしゅ)
- 口腔内悪性黒色腫(こうないあくせいこくしょくしゅ)
- 気管虚脱(きかんきょだつ)
- 肝臓がん
- 変形性骨関節症
- 会陰ヘルニア(えいん)
特に多い病名
糖尿病
[症状]
初期:水をたくさん飲む・おしっこの回数が増える・食欲が増えるが、体重は落ちていく
重症:嘔吐・下痢・食欲がなくなる・げんきがなくなる・口臭・昏睡状態になる。
[対処法]
- インスリン注射
- 運動療法
- 食事療法
[予防]
適度な食事と運動に心がける。
心臓病
[症状]
- 食欲がおちる
- 咳
- 呼吸困難
- すぐに疲れる
- 失神
- 腹水
- 胸水
- 肺水腫
[対処法]
- 食事療法
- 強心薬、利尿剤などの薬物療法
- 安静にする
[予防法]
- 定期検診
- 早期発見、早期治療
腎不全
[症状:急性賢不全]
- 脱水
- 呼吸が荒くなる
- 尿量の激減
- 食欲がなくなる
- 嘔吐
- 元気がなくなる
- 背中がアーチ型になる(急性の場合症状がみられ、数日のうちに悪化し、命を落とすことがある)
[症状:慢性賢不全]
- おしっこの回数が増える
- 食欲がなくなる
- 体重が落ちる
- 嘔吐
- 便秘
- 元気がなくなる
- 口臭
[対処法]
- 点滴
- 透析治療
- カルシウムを補足した低リン食
[予防]
- バランスの良い食事
- 腎不全の原因となる「レーズン」「ぶどう」をたべさせない
- 定期検診を受ける
認知症
[症状]
- ぼーっとしている
- 呼び掛けへの反応が鈍くなる
- 食欲旺盛だが体重が落ちる
- よく寝る
- 昼夜逆転する
- 歩きまわる
- 夜に変な声で鳴く
- 後ろに下がれない
- 円を描くように歩く
[治療]
- 食事療法(処方食)
- サプリメント
- 運動療法
- 環境の改善
- 声掛けを増やす
[予防]
- 定期検診
- 早期発見、早期治療
白内障
[症状]
- 目が白く濁る
- 視力低下
- よくものにぶつかる
- 段差につまずく
[治療]
初期:点眼薬・内服薬
重度:外科手術
[予防]
- 定期検診
- 早期発見、早期治療
まとめ
いかがでしょうか?
老犬になると様々な病気にかかりやくすなってきます。少しでもおかしいと思ったら、病院にて検診をしてあげてください。(半年に1度の定期検診をオススメします。)
老犬のサインが出できましたら、介護の準備もしておきましょう。介護の予備知識があるのと無いのとでは、違ってきます。また、老犬ホームなどの施設もあるので、介護が始まる前に、目星をつけておくこともオススメします。