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犬や猫は肛門腺から、独特のニオイのする分泌液を排出する
肛門嚢(こうもんのう)・肛門腺(こうもんせん)とは、犬や猫のお尻(肛門)のヒダの部分、左右に1つずつつある、ニオイの元を溜めておく袋のことです。この臭い袋の出口がうんちの出る穴のすぐそばにあり、通常、うんちをしたり興奮・恐怖など感情的になったときに分泌物が出てくるようになっています。
時計の4時と8時くらいの位置に、とても小さな穴があります。これが肛門腺です。
肛門線からの分泌液の役割
肛門腺は、猫や犬にとってニオイつけのための大切な手段で、人間でいうところの個性でもあります。イタチやスカンクは敵に襲われた時の武器として、強烈な悪臭を肛門腺から発したりしますが、猫や犬はその必要性がなくなり、現在では退化している器官でもあります。
スムーズに出ないと、肛門のうが破裂することも
ここから出された分泌液が肛門嚢にたまると、かゆみや炎症の原因となりますので飼い主がきちんとケアしてあげましょう。犬は肛門腺を絞らずに放っておいておくと、化膿したり炎症をおこしたり(=肛門のう炎)、ひどくなると、肛門のうが自壊してしまい、とてつもない痛みに襲われます。
肛門のう炎にかかりやすい年齢・個体
肛門のうの破壊は、分泌液のやわらかさや溜まるスピードは完全にその個体によるものです。大型犬はうんちをするときに一緒に出したりするようですが、チワワやトイプードルなどの小型犬や中型犬は自力で出すことができず、たまっていくことが多いです。(ちなみに、猫はめったに詰まらないようです。)
また年齢にも左右されます。高齢になると、分泌液がドロドロになりやすく、1ヶ月に1回は肛門絞りをしてあげる必要がある場合も。
肛門のうの破裂は癖になるらしく2〜3ヶ月に一度なる子もいるとか。普段から肛門線のあたりを触ってチェックしたり、こまめにトリミングサロンや動物病院で診てもらうことをおすすめします。
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自宅でするケア方法、肛門腺絞りのしかた
分泌液のやわらかさが個体によるため、かたくて溜まりやすい子は1ヶ月おきくらいに絞ってあげる必要があります。ふだんから触っておくと、そろそろ溜まってきたな?というのがわかるそうです。またこの分泌液、とても臭いのでケアするときの服装に気をつけてください。分泌液が毛につくとニオイが取れないため、シャンプー前についでにやるのがおすすめです。
1.毛の長い子はウンチがついてしまい、衛生面でも問題ですから、肛門に毛がかぶらないよう、カットします。頻度は月1回では足りないと思うので、手の空いたときにおうちでハサミやバリカンでカットしておくとよいでしょう。
2.尻尾を片方の手で持ち上げ、もう片方の手でティッシュペーパーや湿らせたガーゼなどをあて、肛門腺のふくろを指で押さえます。
3.押さえた所を、時計の8時と4時の方向から肛門の穴方面に押し上げ、揉むようにすると肛門から悪臭のある膿みたいなものが出てきます。分泌液が飛び出すこともあるので、かからないように注意しましょう。
これを、2~3回くりかえし絞って全部出します。(きちんと絞れれば1回で全部出ます)
4.ティッシュペーパーやガーゼなどで肛門腺をきれいにふき取ってあげます。もしも周りの毛についてしまったら、オリーブオイルをつけて、指でくるくるマッサージすると簡単にキレイにとれます。
自宅でケアできない場合
この肛門絞り、自宅でのケアは「強すぎると痛そうでできない」という飼い主さんはとても多く、そういう場合はトリミングサロンや動物病院で定期検診や爪切りのついでにやってもらえます。(お店によりますが、ついでだと無料だとか500円とかでやってもらえると思います)
また、高齢になると外から絞るだけでは絞りきれないこともあります。その場合はお尻の穴に指を差し入れ、内側と外側から摘んで絞り出してあげないと出きらないことも。飼い主さん自身が絞れない場合は、動物病院で絞ってもらっても良いでしょう。
手術で肛門のうを摘出することも
個体によるのですが、どうしても「癖」になってしまうわんちゃん・猫ちゃんもいるようで、手術で摘出することもあるそうです。ただ、前述のとおりこの「臭い」は、人間でいうところの個性でもあるため、できればとったりせずにこまめにケアしてあげてください、と言う先生もいらっしゃいます。摘出は最後の手段として、かかりつけの先生に相談してくださいね。