【一部閲覧注意写真あり】犬猫の停留精巣(停留睾丸)の症状・原因から手術の費用まで

犬猫の停留睾丸(睾丸停留・潜在精巣)とは?

「停留精巣(ていりゅうせいそう)・停留睾丸(ていりゅうこうがん)」とは、その名の通りオス犬のタマタマ(睾丸)の片方もしくは両方が降りてこず、体の中に留まっている状態のこと。すぐに健康上の問題が発生するわけではありませんが、腹腔内に留まった精巣の腫瘍化など、将来的な病気の原因になる確率はやはり正常に発育したオス犬に比べると高いです。

片方だけの場合は生殖能力はありますが、両方が留まっている場合は子どもをつくることはなくなってしまいます。遺伝子的な要素があるため、交配はすすめられません。

停留睾丸ってどんな状態?

仔犬がお母さんのお腹の中にいる時、雄犬の精巣はまだ体の中にあります。生まれたとき、もしくは生後直後に精巣は脚の付け根の鼠径管(そけいかん)を伝って、体の外にある精巣を収める陰嚢(いんのう=袋)に降りてくるのです。

つまり犬の睾丸が外から目で確認できる状態になるのは、一般的に生後6~8週齢くらい。しかし、何らかの原因で精巣が本来あるべき場所に降りてくることができず、途中で止まってしまった状態が「停留精巣・停留睾丸」です。

精巣は完全にお腹の中にとどまっている場合もあれば、個体差により脚の付け根の皮下部分に引っかかっていることも…。実は筆者が9年前に家族に迎えた愛犬・ミニチュアダックスフンド(♂)も同じ症例でした。

停留睾丸の症状
✓ タマタマが1つしかない
✓ タマタマが見当たらない(2つとも)

どうして起こるの?原因は?

精巣が正常に降りてこない要因は、現在まではっきりとは特定をされていません。しかしこの症例には遺伝的要素が強く関係していると言われており、著者もかかりつけの獣医師にその可能性について尋ねられました。

その後ブリーダーさんに確認を取ってみましたが、「そのような症例のある子は生まれたことがない」との返事。でも飼い主である私にとって最も重要なことは症例の原因を突き止めることではなく、今後どのように我が子と向き合っていくか。「発育には個体差があり、生後半年くらいで睾丸が降りてくる子もいます」。という先生の言葉をまずは信じ、愛犬の状態を見守る日々が始まりました。

停留睾丸のリスクとは?

停留睾丸である場合、精巣腫瘍になりやすいということが判明しています。その確率は正常に発育した成犬に比べると実に10倍以上になるとか。この理由は睾丸が“降りる”という理由をたどればわかりやすいかもしれません。

睾丸の中には「精巣」と呼ばれる「精子」を蓄える場所がありますが、この精子は熱に弱いため、体内ではなく陰嚢(いわゆる袋)へと降りていきます。この陰嚢は体内ではなく外に出ているかたちになるので、体内よりは幾分温度も低い状態に保つことができるのです。

ところが停留睾丸の場合には、陰嚢に降りてくることができなかった睾丸が体の中に留まったまま。つまり睾丸が高い体温に置かれたままになってしまいますよね。

精巣が高い温度であり続けてしまうために、精巣腫瘍を引き起こす可能性が高くなってしまうのです。そして我が愛犬は生後半年が経過しても、一向に睾丸が降りてくる様子はなく…。それ以外は本当に元気な子犬だったのですが、いよいよ本格的にこの症例について考えなくてはならなくなりました。

対処法について

半年を過ぎても触診して睾丸が確認できない場合には、あらかじめ動物病院の先生に相談しておくようにしましょう。また、同時に考えておきたいのが「去勢手術」について。停留睾丸などの症例がなくとも、現在の日本では様々なリスク回避を目的に去勢手術がおこなわれています。

その理由はマーキングや他の雄犬などとの争い、前立腺肥大、睾丸腫瘍といった病気予防など。停留睾丸の場合も、鼠蹊部(そけいぶ)や腹腔内に停留した睾丸を取りのぞく手術になるため、考え方としては「去勢手術」と変わりません。

ただし睾丸が鼠蹊部までも降りてこず、お腹のどこか留まっている場合には、開腹手術をして睾丸を探さなくてはなりません。当然、通常よりも手術時間は長くなりますし、愛犬の体の負担も大きくなってしまいます。

筆者の愛犬は睾丸がお腹の中にあるタイプで、獣医師による触診でも睾丸の場所を見つけることができませんでした。ゆえに前述した開腹手術での睾丸摘出となります。私を悩ませたのは手術に絶対はありえないということ、それと同じように停留睾丸であっても必ず精巣腫瘍になるわけではないという現実でした。

あくまでも病気のリスクが高くなる、という可能性の問題なのです。そして私が下した最終的な結論は「手術をする」ということ。確か愛犬が1歳になったばかりの頃だったと思います。

停留精巣の手術費用

手術費は約11万円でした。
術前検査費、睾丸摘出手術費(腹腔内)、入院費、内服薬代などを含みます。
※上記の手術費は筆者の愛犬の症例の場合です。
※一般的な停留睾丸の手術は約3万円前後(入院費を除く)と聞きますが、病院や愛犬の症状、犬種などにより大きく異なりますので予め問い合わせすることをおすすめします。
 

愛犬の術後。個人的なまとめ

愛犬の去勢手術当日、全身麻酔についての同意書にサインをした時のことは今でもよく覚えています。「手術に絶対はない」という現実を十分に理解しながらも、あの時の私は“大丈夫、また夕方に会える”という前向きな気持ちが心を占めていました。けれど数時間後、携帯の留守電を聞いて愕然。「◯◯ちゃんの容態が術中に急変しました」。

予想もしていなかった先生からのメッセージに、勤務先から慌てて病院へ駆けつけました。あの日の私はとにかくパニックで、先生からの説明もよく頭に入らず…(自分がこのような状態だったため、術中に起きた愛犬の詳しい症状は控えさせてもらいます)。

とにかく麻酔後すぐに容体が急変し、手術継続は困難な状況に。私が病院を訪れた時には、開腹した箇所の縫合を済ませた愛犬がゲージの中でぐったりと横になっていました。その姿を見て私は自分の愚かさに初めて気が付きました。愛犬に多くのことを望み過ぎていたと。

ただ元気に生きてくれていたらいいのに、心のどこかで吠え癖が少しでも治るといいな。育てやすい子になってくれたらいいな…と術後の姿を想像していた自分。浅はかでした。

 その後、幸い愛犬は後遺症もなく回復。数ヶ月後にはすっかり元気な姿を見せてくれるようになりました。そしてそれから約7年。前立腺肥大という病気による血尿の症状が出てしまったため、再び手術を決意。当時からお世話になっている獣医師の先生と一緒に他県の大型病院へ向かい、複数の先生の立会いのもと手術を行いました。

結果は成功! 現在8歳になる愛犬ですが、シニア期に突入した今でも元気に過ごせています。

 ペットは私たち人間と違い、自身の思いや苦痛を訴えることができません。だからこそ飼い主である私たちは悩んでしまいますよね…。でもそれでいいのだと思います(個人的に)。セカンドオピニオンを試すなど、飼い主さんとワンちゃんにとってベストな結論を出してあげてくださいね!

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ミカ
小動物看護師の資格取得を目指し中!山育ちのため動物や自然が大好きです。ペットは「猫・犬・鶏・ハリネズミ・うさぎ・亀・メダカ」を飼ったことがあります。おでかけ・カフェ巡りや甘いスイーツが大好物です♪