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犬から人にうつる病気「人獣共通感染症」
「人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう:ズーノーシス(zoonosis))」とは、犬から人にうつる病気のことです。名前がとても仰々しいですがペットや動物を触れたら必ず手を洗い、排泄物はしっかりと処理をすることに気をつければ、十分に防ぐことが出来ます。
狂犬病
死亡率が高く、発症した人で1人しか生還されていないと言われています。日本では主に「犬」が原因とされていますが、猫による感染もあり狂犬病に感染すると強い不安感、一時的な錯乱、水を見ると首(頚部)の筋肉がけいれんする(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんする(恐風症)、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。感染してしまうと、暴れまわるためベット上に手足をくくりつけられて隔離される場合がほとんどだそうです…。外国によっては「猫」「コウモリ」「キツネ」「アライグマ」「オオカミ」などがあげられています。
※ 日本国内では、人への感染は昭和31年(1956年)を最後に発生がありません。
感染経路
主に狂犬病に感染した動物に咬まれ、唾液中に排出されるウイルスが傷口より体内に侵入することにより感染します。狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、全世界に分布します。つまり、海外ではほとんどの国で感染する可能性のある病気です。
症状
発熱、頭痛、患部のけいれん・痛み・精神障害(水を怖がる・精神錯乱・強い不安)・けいれん・昏睡状態
予防
狂犬病予防法に基づき、犬の飼い主には以下のことが義務づけられています。
- 市町村に犬を登録すること
- 犬に毎年狂犬病の予防注射を受けさせること
- 犬に鑑札と注射済票を付けること
治療
狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。感染動物に咬まれるなど感染した疑いがある場合には、その直後から連続したワクチンを接種(暴露後ワクチン接種)をすることで発症を抑えることができます。
狂犬病発生地域で犬などに咬まれて感染した可能性がある場合に、発症を予防するため接種するワクチン(暴露後ワクチン)を、出来るだけ早く接種を開始する必要があります。暴露後ワクチンは、初回のワクチン接種日を0日として、3日、7日、14日、30日及び90日の計6回皮下に接種します。
レプトスピラ病
感染し重症化すると、死亡率は5〜50%とされています。軽症の場合風邪と似た症状でやがて回復します。ワクチンを打っていれば、多くは軽度の状態で治りますが、潜伏期間中に打ってしまうと重症になる可能性が高まります。この病気は、犬の他にもブタやウシなどの殆どの哺乳類に感染してしまいます。
より詳細な内容は次の記事をご確認ください。
高い確率で死ぬ可能性があり、人にもうつる、人獣共通感染症のレプトスピラ感染症。その症状・原因・治療方法とは?
レプトスピラ感染症とは、病原性レプトスピラによって引き起こされる、犬だけでなく多くの動物が感染する病気。動物から人に感染することもある「人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)」でもあります。多くは症状が出ませんが、急性の症状があらわれた場合は死亡率が高い病気でもあります。そんなレプトスピラ感染症とは、どんな症状・原因・治療、対処方法、予防方法があるのか、ご紹介します!
感染経路
病原性レプトスピラを保有しているネズミ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの尿で汚染された下水や河川、泥などにより、経皮的に皮膚や口から入ることにより感染します。時には汚染された飲食物の摂取により経口的にヒトに感染します。ヒトからヒトへの感染はありません。
症状
黄疸・発熱・出血・肝障害・腎障害、悪寒、頭痛、全身の倦怠感、眼球結膜の充血、筋肉痛、腰痛。
重症型の黄疸出血性レプトスピラ病(ワイル病)と、軽症型の秋季レプトスピラ病やイヌ型レプトスピラ病などがある。ワイル病は黄疸、出血、蛋白尿を主徴とし、最も重篤です。
潜伏期間は3~14日で、突然の悪寒、戦慄、高熱、筋肉痛、眼球結膜の充血が生じ、4~5病日後、黄疸や出血傾向が増強する場合もあります。
予防
ワクチン接種
排泄物を適切な方法で処理をする
治療
主に抗生物質によって治療されることが多いです。しかし、投与後に体内の細菌が一斉に崩壊して毒素が短時間で血液中に放出され、発熱・低血圧などのショック症状を起こす場合があります。
カンピロバクター症(生物菌)
食中毒菌として指定されています。どこから貰ってきたかわからない人は、ペットからの感染の可能性もありますので、一緒に調べてもらいましょう。犬や猫は散歩中の拾い食いなどが大きな原因になりますので、床に落ちているものは食べ無いようしつけをしておきましょう。
※ 犬や猫の1%前後が保菌していると考えられてます。
感染経路
カンピロバクター症の感染ルートとしては、汚染された食品(特にニワトリ)や水を口にすることによって発生する食中毒と、感染した犬や猫の糞に再染された環境から感染します。
いずれも汚染された食品や手指等から、菌を経口摂取することにより感染します。
ペットから感染する可能性は低いですが、ゼロではないので子どもが子犬や子猫を触る際には特に注意してください。
症状
人が感染した場合、平均2~5日の潜伏期間を経て「下痢」「腹痛」「発熱」等が見られます。小児の場合は血便をすることもあります。
ごくまれに、カンピロバクター症に感染したことがきっかけとなって運動神経が障害され、手足が麻痺するギラン・バレー症候群を発症する人がいることが明らかとなっています。
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
- 腹痛
- 水様性下痢
- 血便
- 嘔吐
予防
下痢をしている子犬と接触したことによる感染例が報告されています。動物と接触した後は、とくに犬の便を処理したあとは、よく手を洗うことが必要です。
治療
多くは自然治癒します。重度の場合は、投薬治療を行います。
皮膚糸状菌症
真菌による感染です。人間では「白癬」「皮膚カンジタ」「水虫」と言われます。なかなか治らない・どこからもらってきたのだろう。という人は、一度ペットを疑ってみたください。もしかすると、ペットか原因かもしれませんので一緒に検査をしてみることをオススメします。
感染経路
発症した犬や猫との接触や、家の中のほこりに紛れ、感染してしまいます。
他にも家族の中に白癬にかかった人がいたり、スポーツクラブやプールに通っている人は他の人から、真菌をもらいやすいです。
症状
皮膚が一部白くなる・かゆみ(水虫のようなもの)
予防
早期発見・治療
治療
抗真菌薬を使用します。薬局やドラッグストアなどでも手に入れることが出来ます。
サルモネラ症(生物菌)
サルモネラ菌はヒトや動物の消化管に生息する腸内細菌の一種のことです。その一部はヒトや動物に感染してて症状を引き起こしてしまいます。感染型の食中毒の原因の一つとなっています。
感染経路
感染した犬や猫の糞に再染された環境から感染します。また、発症した動物との接触によっても感染します。
他にも、生肉やよく加熱されていないお肉を食べると感染してしまいます。近年では、生タマゴにも入っていると言われています。
症状
発熱・下痢・嘔吐・急性胃腸炎
予防
排泄物を適切な方法で処理をする
十分に加熱をしたお肉を食べる
生の肉は食べない
治療
抗生物質・整腸剤によって治療されます。
まとめ
ワクチン接種や環境を清潔に保つだけで、ほとんどの感染症は予防されます。ペットは可愛いですが、きちんとけじめを付けて飼うことが大切です。ペットを触ったらしっかりと手を洗うことや、ペットの口の中は想像しているよりも不衛生ですので、口を舐めてくる行為も止めさせるしつけもしていきましょう。また、ワクチンの接種もおろそかにせずに周期や種類も様々ありますので、調べて行うことをオススメします。