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犬は人間の10倍の痛みに耐えられると言われており、そのペットたちが痛がるということは相当なものです。犬の肛門腺についてきちんとした知識を持ち、日頃から愛犬の肛門腺をチェックする習慣をつけましょう。また、明日でいいやと思わずに、気がついたらすぐに病院に連れて行ってあげてください。(ちなみに、うちのワンちゃんは普段から抱きキャンをしたりするので1日目は様子をみていたのですが、二日目にうんちが出ないので心配になり動物病院へ連れていきました。
肛門嚢炎(こうもんのうえん)、肛門腺の破裂、肛門腺の自壊
肛門のう炎(肛門のうの自壊・破裂)は、特に毛の長いわんちゃんは外から見ただけではわかりづらいため、飼い主さんが病院に連れていったときにはすでに破裂していることが多い病気です。肛門とは別にお尻に穴が開いているのにびっくりして「お尻をケガしました」と言って来院されることも多いとか。飼い主には突然起こったように見えますが、実は肛門嚢炎は日頃から徐々に進行しているかもしれない病気です。次の症状や動作をした時に疑うのが、肛門のう炎です。
肛門嚢炎の主症状
・肛門周辺の腫れや赤み
・うんちが出にくい、出ない
・うんちをする時に痛みで鳴く
・お尻を触る、抱きかかえると痛みで鳴く
・突然走り出す
・お尻を舐める、噛む、気にする
・しっぽを追いかけてぐるぐるまわる
・お尻をこするように歩く、お尻を床にひきずる
肛門嚢炎の病態と原因
肛門のうえんとは、肛門の近くにある肛門嚢(こうもんのう)と呼ばれる器官の開口部が詰まったり、細菌感染を起こしたりなどで肛門のうに炎症が起こる病気です。犬は肛門腺を絞らずに放っておいておくと、化膿したり炎症をおこしたりするだけでなく、ひどくなると、肛門のうが自壊(=破裂)してしまい、とてつもない痛みに襲われます。
肛門のう炎の主な原因
・肛門のうの目詰まり
通常、肛門のうはうんちをするときに動く外肛門括約筋(がいこうもんかつやくきん)によって押され、中の分泌液を肛門内に放出します。しかし、肛門のうと肛門とをつなぐ肛門嚢管(こうもんのうかん)に目詰まりがあると、分泌液の正常な排出がとどこおり、肛門のうの中に溜まったままになってしまいます。
・肛門絞りを知らない、または怠ったため
チワワやトイプーなどの小型犬、肥満犬、高齢の犬などは分泌液を自力で排出できないケースが多いと言われていますが、分泌液を自力で排出できない犬でも、飼い主が定期的にお尻のチェックをして肛門のうを絞ってあげれば、炎症をおこすことはありません。自分でケアをするか、できない場合はトリミングサロンや動物病院で診てもらいましょう。
・小型犬や老犬
分泌物は、さらさらの水みたいなものからドロッとしたもの、高齢になるとカサカサなものなどがあり、個体差があるためどの状態が異常とかはありません。ただ、肛門のう炎を発症するのは、大部分がトイプードル、チワワといった小型犬種、または老犬です。理由は、外肛門括約筋の力が弱いため、本来は自然に排出される分泌液を自力で押し出すことができないためだと考えられます
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肛門嚢炎の治療とその費用
肛門のうが破裂してしまった場合の治療法としては、主に以下のようなものがあります。自分でできることではないので、必ずかかりつけの動物病院へ行きましょう。また、病院によって治療方法や費用、術後の経過の過ごし方は違います。
1.まずはバリカンで肛門のまわりを剃りあげる
2.痛み止めの麻酔を打ち、たまった分泌液をすべて出す
絞り出した分泌液。個体によって、さらさらしてたりカサカサだったりするようです。この子はうんちみたいな質感でした…。
3.肛門のう内を洗浄
4.カラーをまいて退院
5.経過観察
治療から1週間(7日〜10日)後、経過観察のため再診にきました。
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はりついているモノたちを取りやすくするために洗浄液をかけ、こびりついてたもの(うんちとかさぶたと毛だそうです)をハサミでちょきちょき。
傷口が小さくなってました!(完治までもう少しですね)
6.2度目の経過観察
さらに1週間後に再診をして、カラーをとり完治しました。
よく傷口が治ってるように見えるからと、自己判断で再診に来られない方が多いそうですが、完治していないとまた破裂して再診するわんちゃんも多いそうです。きちんと獣医さんのとおり完治するまで通ってくださいね!
術後の経過、その他
筆者のかかった動物病院では、やぶれたお尻を縫うなどはしませんでした。自然治癒で穴は小さくなり、かさぶたができたらやがてふさがるそうです。かさぶたが気になって舐めてしまう子もいるので、病院がOKをするまでカラーははずさないよう言われました。
治療から2日後、オシッコもウンチもしなかったので心配になり、うんちは痛いのだとしてオシッコをしないのは原因がわからずに病院へ電話したところ、「ごはんを食べてても詰まってしまってる場合は、嘔吐する。ごはん食べてお水飲んでたら問題ない。またオシッコは体に炎症を起こしている場合は体内で水分を消費するらしく、治療から数えて2・3日で元気になると思うけれど、元気がない、食欲がない、水を飲まないとかだったら連絡ください。」とのことでした。(ちなみに公園へ散歩につれていったら、大量のオシッコとうんちをしたのでほっとしました)
費用
ひどくなってしばらくたった状態でしたので、けっこう費用がかかりました。
【内訳】
初診料 1,500円
一般血液検査 2,000円 ※
血液生化学検査 4,000円(500円 × 8) ※
血液生科学検査 CRP 1,000円 ※
処置(バリカン毛刈り・局所麻酔洗浄) 3,000円
皮下注射 1,000円
コンベニア注 2,000円
お薬 4,800円
カラー 1,000円
(合計:19,300円)
※…傷口から、感染症等にかかっていないかどうかも含め、血液検査をおこないました。血液検査を行わない場合は、13,300円くらいかと思います。
※…保険に入っていない場合の金額です。
※ …病院によって金額は異なりますので、予めお問い合わせすることをおすすめします。
肛門のうえんにならないために
肛門嚢炎の予防法としては、主に以下のようなものがあります。
肛門絞り
予防としては定期的に肛門嚢をしぼるのがよいです。病院で身体検査の際などに、獣医師にしぼる方法を習えば家庭でも行えます。液体が嚢内に滞って嵌頓(かんとん)状態になっている場合は、肛門のうを両脇から押し込むことによって中の分泌液を絞り出すことができます。また再発しないよう、飼い主が定期的に家で肛門を絞ってあげることも重要です。
ただし、高齢になると分泌液がドロドロカサカサすることもあり、外から絞るだけでは出きらないことも。その場合は、お尻の穴に指を入れ、内側と外側で絞り出す必要もあります。
肛門絞りの方法とコツ、どれくらいの頻度で絞ったらいいの?
肛門しぼりの方法をコツをご紹介。
動物病院での定期検診
自分でケアできない場合や、いまいちわからないという方は、フィラリア注射や狂犬病予防注射のついでとかで肛門絞りをやってもらえないか、かかりつけの獣医に相談してみてください。たまりやすい子は2〜3ヶ月、高齢になると1ヶ月でたまってしまうこともあるため、最初はこまめに診てもらいましょう。
トリミングサロンでやってもらう
シャンプーや爪切りのついでにやってくれるサロンもあります。お店の対応サービスによるので、各店に問合せてみましょう。