目次
- パルボウイルス感染症の症状は?
- よく見られる症状
- 心筋症型(心筋炎型)
- 腸炎型
- パルボウイルスの主な感染経路と原因
- 人や猫、他の動物にはうつるの?
- 治療方法とその費用
- 初診料・再診料
- 便検査
- 血液検査
- 点滴・入院費用
- 予防方法
- ワクチンの種類と費用について
- ワクチン抗体価検査(血液検査)
- もしもパルボウイルスに感染してしまったら?
- ご家庭でつかえる、パルボウイルスに有効な消毒方法
- 消毒液の作り方
- キッチンハイター(花王)の消毒スプレーの作り方
- 消毒する場所
- よくあるパルボウイルス感染症に関する問題
- ① 獣医師に見せたが初回の診断では風邪と診断された
- ② ワクチンを接種してあるのに、パルボウイルスに感染
- ③ 多頭飼いしている場合他の犬に感染しないか心配
- ④ パルボウィルス消毒から新しい子を迎えるまで
犬パルボウイルス感染症とは英語でcanine parvovirus infection(CPV)といい、イヌ科の動物同士の接触により感染します。発症するとはげしい下痢やおう吐をおこし、多くが1〜2日で死んでしまうことがある恐ろしい感染症です。このウイルスは、病気の犬の吐瀉物(としゃぶつ)やうんちなど排泄物とともにばらまかれ、体外に出たあとでも6ヶ月もの長期間生存し、ごくわずかな量でも感染します。パルボウイルス感染症と、ジステンバー、伝染性肝炎は必ず予防しなければならないウイルス病です。
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パルボウイルス感染症の症状は?
2〜3日の潜伏期間後、激しくもどし、下痢をします。このウイルスは細胞分裂の盛んな場所を好み、特に子犬が感染した場合は心筋や腸が感染場所となります。主に子犬がかかりやすい病気として、感染する場所から「心筋症型・心筋炎型(しんきんえんがた)」と「腸炎型」の型があります。子犬の致死率は高く、コロナウイルスなどの複合感染ではより重症化します。
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よく見られる症状
- 食欲がなくなる
- おう吐下痢
- 血便
心筋症型(心筋炎型)
生後数ヶ月の幼犬に発症し、急性心不全で突然死することがあります。
急に鳴き叫んだり、吐いたりすることもありますが、多くはいままで元気だった子犬が突然死してしまいます。悪くなってから何もできない間に死ぬことが多いのが特徴です。特に母犬から免疫をもらっていない子犬に多く見受けられます。
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腸炎型
白血球が減少するのが特徴の、この消化器症状をおこすタイプで、激しい嘔吐や下痢が始まります。便の色は白っぽい色からやネバネバした粘液状の便になって行きます。症状が重くなると、トマトケチャップのような出血をともなった水溶性の下痢をするようになります。嘔吐と下痢のため脱水症状や敗血症をおこし衰弱して、子犬の場合は治療が遅れるとショック死することもあります。
パルボウイルスの主な感染経路と原因
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パルボウイルスの原因は、犬パルボウイルスです。(猫の場合は、猫パルボウイルスという。)感染経路は、経口感染と、経胎盤感染が知られています。
感染力がとても強いため、感染した犬の糞便、おう吐物、汚染された食器や衣類などに、犬が鼻や口をこすりつけることによって感染します。不特定のイヌが多数集まる公園やペットショップ、ドッグラン、またご近所のお散歩コース、感染した犬にさわった人の手などからうつることもあります。体内に入ったウイルスは腸管細胞(ちょうかんさいぼう)や骨髄細胞(こつずいさいぼう)で増殖します。
人や猫、他の動物にはうつるの?
犬パルボウイルスは人にうつることはありません。また、イヌパルボウイルスは猫にはうつらないとされています。
治療方法とその費用
パルボウイルス感染症の治療は対処療法が主ですので、ウイルスに対する特効薬はありません。脱水症状の治療を中心に、じゅうぶんな輸液と栄養分の補給をします。数日間〜2週間前後入院し、点滴をうってもらう事が多いようです。また、ほかの犬と隔離し、二次感染を防ぐために抗生物質を投与します。
診察と治療にかかる費用は病院によって異なりますが、次の項目が一般的です。
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初診料・再診料
はじめての病院であれば初診料、かかりつけであれば再診料がかかります。一般的には初診料は1,500〜2,000円、再診料は1,000円〜1,500円のところがおおいです。通常の下痢症状・発熱・食欲・全身状態などの症状を診て診察・検査します。
便検査
犬の糞便中に排出される犬パルボウイルス(CPV)抗原の検出をします。病院によりますが、便は持参して、腸の寄生虫確認に検便をしてもらいます。検便費用は500〜1500円ほど、回虫などがいて薬を飲ませれば、薬が1,500円ほどです。
血液検査
パルボウィルスは、血液中に入り込んでくる厄介なウィルスです。入り込んでくると、体を守ってくれる白血球の数が減少してきます。これは、血液検査によって確認することができます。費用は、一般血液検査 1,500〜2,000円ほどですが、症状の程度により、入院中に何度か検査することもあります。
点滴・入院費用
多くは3日〜2週間前後入院し経過をみます。入院費はワンちゃんの症状によりますが、おおよそ1泊1万円〜13,000円くらいの病院が多いです。点滴、抗生物質の種類、看護の頻度など、その内容で違ってくると思います。
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予防方法
予防をするためにはワクチンの摂取をする必要があります。一般的には5種混合ワクチンに含まれるため、あまり意識していない飼い主さんも多いのではないでしょうか。5種混合ワクチンは、犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス2型感染症、犬パラインフルエンザウイルス、犬パルボウイルスが予防できるワクチンです。
ただしワクチン効果が現れるまでは約2週間かかります。その間に感染する危険性もあるので、ワクチンを打ったから大丈夫…と油断せずに消毒を心がけましょう。
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パルボウイルスについての知識がないまま子犬を迎え入れ、突然の嘔吐下痢にオロオロ…なんて飼い主さんがよく見受けられます。飼う前にペットショップやブリーダーさんなど、販売元でのワクチンの接種の有無をしっかりと確認すること、また必要に応じて動物病院でワクチンを接種しましょう。ワクチンの摂取をしているかどうかわからない場合は、抗体検査で判断できますので、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。
ワクチンの種類と費用について
犬パルボウイルスは5種混合ワクチンに含まれます。ワクチン接種にかかる費用は病院により違うので一概にどれくらいとは言えませんが、5,000~6,000円くらいであるところが多いです。動物病院は自由診療のため、正確な費用はあらかじめかかりつけの病院に聞いておきましょう。
ワクチン抗体価検査(血液検査)
ワクチンを接種しているかどうかがわからない場合は、ワクチン抗体価検査をします。ワクチン抗体検査とは、ワクチンの効果がどのくらい残っているかを調べる検査です。何種類検査するか、また病院によって料金は異なりますが、おおよそ4,000〜7,000円のところが多いです。正確には、受ける予定の病院に問い合わせてみてください。
もしもパルボウイルスに感染してしまったら?
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食欲が減った、嘔吐、激しい下痢をするなどの症状から、パルボウイルスへの感染が疑われる場合は、大至急動物病院へ連れてゆきましょう。動物病院での早急な治療はもちろんですが、先住犬やお散歩などで他のわんちゃんに感染させない為にも、家庭での消毒も重要になってきます。犬が触ったモノで捨てられるモノは捨てたり、捨てられないモノはじゅうぶんに消毒をしましょう。
ご家庭でつかえる、パルボウイルスに有効な消毒方法
パルボウィルスはアルコールやクレゾールや逆性石鹸などでは効果がありません。パルボウイルスは通常の消毒剤では効果がありません。消毒薬に対して抵抗性が強いことから、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%以上)が効果があるといわれています。次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用ではドッグラッグストア等で販売している塩素系漂白剤を指し、商品名は、キッチンブリーチやハイターなどです。消毒スプレーを作り、パルボウィルスに感染した場所やオモチャ、ハウスなど次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
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消毒液の作り方
次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用ではドッグラッグストア等で販売している塩素系漂白剤を指します。商品名は「キッチンブリーチ」や「キッチンハイター」などで、衣類用とキッチン用がありますが、どちらでも大丈夫です。ただし、中には酸素系漂白剤もあるので気を付けて下さい。
キッチンハイター(花王)の消毒スプレーの作り方
花王のキッチンハイターは塩素濃度は約5%です。塩素濃度が200ppm以上になるように希釈し、15分間以上浸漬した後、水洗いします。水5リットルに対してハイター50ml(バケツ1杯に対してハイターのキャップ2杯)でつくります。ちなみに花王のワイドハイターは酸素系漂白剤なので避けて下さい。なお、日が経つと消毒効果が減るので作りおきはせずに、使う都度つくりましょう。
消毒する場所
オモチャや食器などは消毒液に一時間程漬けてから洗剤で洗います。スプレーでふきかけた場合は、噴射して約30分置いた後に拭き取ります。塩素雑巾で拭きあげる場合、ゆるく絞った雑巾で拭き、乾くまで放置しましょう。消毒をする際には、二次感染を防ぐためにも必ず手袋をしましょう。手荒れの防止にもなります。塩素系の独特な匂いもあるのでマスクをするのもおすすめします。
よくあるパルボウイルス感染症に関する問題
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パルボウイルス感染症にかんする、よくある質問などをまとめました。この場合はどうなの?という疑問があれば、お問い合わせフォームからお問い合わせくださいね。
① 獣医師に見せたが初回の診断では風邪と診断された
Q)子犬を迎えましたが、ごはんをあまり食べず、具合が悪くなり、近所の獣医師につれていったのですが「風邪」と診断され注射1本を打ち、薬をもらいました。次の日、前日より状態が悪化していたので別の病院についれていったところ、簡易検査キットでパルボウイルスに感染しているということがわかりました。1件目の病院で風邪と診断されたことに疑問があります。
A)子犬が下痢の場合、寄生虫などの検便をすることが多いでしょう。ひどい水様性下痢や血便などではパルボなどを疑いますが、下痢でパルボ症状を疑わないかぎりすべての下痢症状に検査はしないこともあります。どうしても気になる場合は、飼い主さんからパルボウイルスの検査を依頼しても良いかと思います。
② ワクチンを接種してあるのに、パルボウイルスに感染
Q)5種混合でパルボのワクチン接種をしたのにかかわらず、パルボにかかってしまいました。
8月の中頃に、子犬が家にきました。ブリーダーさんのところにいるときに、7月15日に1回目のワクチン接種が完了しています。2回目は8月15日に2回目の接種をする予定でした。しかし、14日に具合が餌を食べず、下痢をしていたので病院へ連れて行くとパルボと診断されました。ワクチンを打ったのに、パルボにかかってしまうのでしょうか?
A)まず、1回目のワクチンは生後何日目に接種したのでしょうか?生後3ヶ月以内の場合、母親からの移行抗体により無効化する恐れもあります。また、ワクチン接種から効果があらわれるまでは2週間かかります。その間にパルボに感染したことも考えられます。そして、残念ながらワクチンは人間のインフルエンザ同様に完全に感染を防止できません。(接種により感染症状の重症化を防ぐ目的もあります。)
③ 多頭飼いしている場合他の犬に感染しないか心配
Q)先日迎えた子犬がイヌパルボにかかってしまいました。先住犬に感染しないでしょうか?
A)入院してよくなったとしても、退院時はまだ菌を保持しているので抗体検査で「陰性」になるまで他の犬との接触は避けましょう。パルボウイルスは感染経路が多く、感染力も強いです。感染している子の唾液、鼻水、糞便や嘔吐物の接触、又はそれらの飛沫を吸い込んでも感染します。人の手からも感染しますので、感染したわんちゃんに触れたあとは十分に消毒・殺菌をしましょう。
④ パルボウィルス消毒から新しい子を迎えるまで
Q)犬パルボで先住犬をなくしました。部屋じゅうを殺菌消毒をしましたが、次の子を迎えるのはいつがよいでしょうか?
A)パルボウイルスは一般的に、吐瀉物やうんちなどで体外に出たあとでも、半年間は生存するといわれています。
どこまで消毒できたか、どの程度汚染されていたかによっても大きく違いますが、いくら消毒をしたからといって、一般家庭では家全体に消毒液を噴霧する事が難しいかと思います。消毒し終わってから新しい子を迎えるまで、6ヶ月以上、理想では1年はあけることが望ましいでしょう。