目次
- そもそも痙攣(けいれん)とは?
- まずは落ち着いて対処しましょう
- ただし、次の場合は大至急かかりつけの獣医師へ
- ①誤飲したあとの痙攣
- ②痙攣が数分以上つづく
- ③授乳中の犬がけいれんを起こした
- ④ 失神が数分以上つづく
- ⑤ すぐに意識を取り戻したが、元気がない
- ①〜③で考えられる主な病気
- 低カルシウム血症
- 癲癇症(てんかん、英語: epilepsy)
- 賢不全(じんふぜん、英語: renal failure)
- 狂犬病(きょうけんびょう)
- ジステンバー
- 中毒
- 腫瘍(しゅよう)
- ④⑤で考えられる主な病気
- 動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう、英語: patent ductus arteriosus; PDA)
- 心室、心房中隔欠損症(しんしつ、しんぼうちゅうかくけっそん)
- 僧帽弁閉鎖不全(そうぼうべんへいさふぜん、英語: mitral insufficiency, MI)または僧帽弁逆流症(そうぼうべんぎゃくりゅうしょう、英語: mitral regurgitation, MR)
- 心筋症
- 不整脈
- おちついて獣医師に説明するために
そもそも痙攣(けいれん)とは?
けいれんとは、意識とは関係なく筋肉がひきつるように収縮をくりかえす動きのひとつで、パターンは多種多様であるが、大きく全身がけいれんする場合と体の一部分である場合がある。
たとえばてんかん発作のように全身が硬直する痙攣や、まぶたや顔の筋肉がピクピクと動いたり、足などの筋肉がつる状態のように身体の一部がおこすことも痙攣にふくまれます。
体の一部(足)がピクピク動いているけいれんの動画
全身がけいれんした動画(原因不明のけいれん)
大型犬(ゴールデン・レトリバー)のてんかん発作の動画
小型犬(チワワ)のてんかん発作の様子がわかる動画
まずは落ち着いて対処しましょう
けいれんを起こしたり意識を失ってしまうと、飼い主さんはびっくりしてしまいますよね。1回のけいれんや失神で死に至ることはめったに起こることではないので、犬が倒れたり暴れたりしてケガをしないような安全な場所に移動し、落ち着いて対処しましょう。
ただし、次の場合は大至急かかりつけの獣医師へ
①誤飲したあとの痙攣
何かを食べたり飲み込んだ直後にけいれんを起こした場合は、中毒性の可能性があるので大至急かかりつけの動物病院で診断してもらう必要があります。
②痙攣が数分以上つづく
また、けいれんや失神が数分以上の長い時間つづく場合も重い病気である可能性があるので、かかりつけの獣医師にすぐに診断してもらいましょう。
③授乳中の犬がけいれんを起こした
母犬が授乳中、母乳にカルシウムが移行するために血中のカルシウムが不足する「低カルシウム血症」で全身のけいれんを起こすこともあります。ただちに動物病院へ運び、診察してください。
④ 失神が数分以上つづく
⑤ すぐに意識を取り戻したが、元気がない
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①〜③で考えられる主な病気
低カルシウム血症
低カルシウム血症とは前述のとおり、母犬が授乳中、母乳にカルシウムが移行するために血中のカルシウムが不足するためけいれんをおこします。ほかにも、意識を失う、耳や顔などの部分的な痙攣、食欲不振、嘔吐(おうと)、呼吸が荒くなるなどと様々で、重度の症状がみられる場合は、死に至る危険もあります。
癲癇症(てんかん、英語: epilepsy)
突然意識をなくしたり、全身がけいれんしたりといった発作が数十秒つづきます。おさまるとケロッとした感じで普通の状態に戻りますが、1ヶ月の間に何度も起こったり、数ヶ月間があいたりします。
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賢不全(じんふぜん、英語: renal failure)
腎不全とは、尿をつくる腎臓の75%以上の機能がはたらかなくなった状態をいい、急性賢不全と慢性腎不全があります。急性賢不全では数時間から数日という短時間で急激に機能低下し、体内の毒素を排泄できなくなります。
慢性賢不全とは、急性賢不全と同じように腎臓の機能が75%以上失われた状態です。年を取った犬ほど発症率が高くなり、残念ながら機能回復は望めません。
狂犬病(きょうけんびょう)
人間をふくむすべての哺乳類に感染し、100%近くが死亡するという恐ろしい病気ですが、幸いなことに日本では1975年以降発生していません。潜伏してから発症するまでは1週間から1年とさまざまで、感染すると中枢神経がおかされて異常に吠えたり、よだれを垂らしながら徘徊する、凶暴になります。そして筋肉の麻痺によって動けなくなり、死に至ります。
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ジステンバー
感染するとウイルスは脳にまで親友して、けいれんや昏睡などの神経症状をおこすこともあります。子犬の病気と思われがちですが、免疫力の衰えた成犬(成猫)や老犬(老猫)もしばしば感染し、感染すると死亡率の高い恐ろしい病気です。
中毒
犬の場合は本能的にあやしいと感じるものは口に入れない修正がありますが、うっかり口にして中毒症状を起こすものはまわりにたくさんあります。人間にも有毒であるものはもちろんのこと、なかには犬にだけ有害になるものがあるので注意が必要です。
マカダミア・ナッツ…多量に摂取すると、嘔吐、運動失調、うしろ足の麻痺などを引き起こします。
殺虫剤…有機リン系や塩素系の殺虫剤をなめたり、皮ふから多量に吸収すると、中毒を起こします。嘔吐や下痢、ひどい場合はけいれん、吐血、血便、昏睡状態になることも。
腫瘍(しゅよう)
人間にみられる腫瘍は、犬も猫もほとんど同じように発症します。
④⑤で考えられる主な病気
動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう、英語: patent ductus arteriosus; PDA)
出生後に本来なら閉じるべき動脈管が開いたままになってしまったために起こる、先天性の心臓病です。重症になるとすぐに疲れ、せきや嘔吐、呼吸困難などの症状が出ます。治療をしないと2〜3年でほとんどが死亡しますが、半年以内に手術をすれば正常犬とほとんど変わらない生活をおくれます。ポメラニアン、ミニチュアダックスフンド、コーギー、シープドッグ、シェットランドなどによくみられる病気です。
心室、心房中隔欠損症(しんしつ、しんぼうちゅうかくけっそん)
生まれつき、心臓の左右の心室、あるいは心房の壁に穴が開いている病気です。程度が軽ければ無症状で成長しますが、心室に穴が開いている場合は、すぐに疲れる、呼吸困難、嘔吐などの症状がでます。
僧帽弁閉鎖不全(そうぼうべんへいさふぜん、英語: mitral insufficiency, MI)または僧帽弁逆流症(そうぼうべんぎゃくりゅうしょう、英語: mitral regurgitation, MR)
ポメラニアンやマルチーズなど、小型の犬の死因トップを占め、心臓病のなかでもいちばん多い病気です。運動や興奮したあと、夜間から朝にかけて咳が出るのが初期の特徴で、病気が進行すると疲れやすくなり、散歩を嫌がって座り込んだり、失神したり、激しい咳が一晩中つづくようになります。さらにひどくなると呼吸困難や肺気腫を引き起こしたり、発作をおこして倒れることも。
心筋症
心臓の筋肉の異常によっておこる病気です。軽症の場合は症状がでないこともありますが、ひどくなると突発的なせきから呼吸困難におちいることもあり、失神したり突然死することもあります。
不整脈
不整脈とは、脈の打ち方がおかしくなることを意味します。軽度の場合は、疲れやすかったり、息が荒かったりという程度です。ひどくなるとチアノーゼをおこしたり、失神したりします。
おちついて獣医師に説明するために
脳と神経はすべての体の器官をコントロールしており、小さな障害が体に大きな影響を与えることも少なくありません。
いつから、どれくらいの時間、どんな発作を起こし、発作後・発作前の様子はどうだったのかなどを獣医師に説明できるようまとめておきましょう。獣医師に見せて説明するために、動画を撮っておくこともおすすめします。